トルコリラ/円と言えば、高金利通貨ペアです。そこで、まずはどれほど人気があるのかから確認しましょう。
トルコリラ/円の人気度
トルコリラ/円は、「くりっく365」で特に活発に取引されています。そこで、くりっく365における、2019年の通貨ペア別取引数量とシェアを確認しましょう。
なお、1枚は1万通貨です(南アランド/円は、10万通貨)。
- | 全体 | 24,940,536枚 |
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1位 | トルコリラ/円 | 5,379,481枚(21.6%) |
2位 | 米ドル/円 | 5,352,811枚(21.5%) |
3位 | 南アランド/円 | 2,998,325枚(12.0%) |
4位 | ポンド/円 | 2,639,242枚(10.6%) |
5位 | 豪ドル/円 | 2,431,935枚(9.8%) |
何と、トルコリラ/円は世界全体で見ればマイナー通貨ペアなのに、取引数量で第1位に輝いています。シェアは21.6%にもなります。
何という人気ぶりでしょう。
他のFX業者では、これほどまでに極端な順位になっていません。しかし、人気があることは確かです。
なお、金額ベースでは米ドル/円が1位です。と言いますのは、米ドル/円を1枚買うと取引額は100万円を超える一方、トルコリラ/円は1枚で15万円くらいだからです。
とはいえ、トルコリラ/円の人気が高いことに変わりはありません。
【トルコリラ/円】スワップポイント
この人気を支えているのは、スワップポイントでしょう。他の先進国通貨ペアと比べて、トルコリラ/円はとても大きなスワップポイントになっています。
スワップポイントは、FX業者ごとに数字が異なります。そこで、簡易的に、日本とトルコの政策金利を比較してみましょう。
スワップポイントは、2国間の短期金利差で決まります(政策金利差ではありません)。しかし、政策金利は、短期金利に多大な影響を与えます。
そこで、スワップポイントを考える場合に、便宜的に政策金利差で考えることができます。
上のグラフを見ますと、政策金利の差は明らかです。日本は横軸と重なっていて、ほぼゼロで推移してきました。
一方、トルコの場合は、ダイナミックに動いています。5%を下回ったこともありますが、平均的に見て10%弱くらいに見えます。最大で24%になったこともあります。
これだけ差が大きいと、トルコリラ/円を買えば、毎日大きなスワップポイント益を期待できます。これが、人気を集めている理由でしょう。
【トルコリラ/円】買って保有すれば利益になるか
では、トルコリラ/円を買って保有すれば良い、という判断になるでしょうか。その前に、チャートで値動きを確認する必要があります。
と言いますのは、トレードの損益を決めるのは、次の2つだからです。
- 為替差損益
- スワップポイント損益
一方がプラスでも、もう片方が大きくマイナスなら、合計で損してしまいます。そこで、月足チャートを確認しましょう。
スワップポイントで稼ごうという場合、ポジション保有期間は長期間になります。よって、長期推移を確認できる月足チャートが良いでしょう。
【トルコリラ/円】月足チャートの考察
下は、FXプライムbyGMOから引用したチャートです(以下同じ)。残念ながら、ほぼ一直線かと思えるような円高です。
上のチャートを見ますと、2015年1月あたりの為替レートは、40円台後半でした。ところが、2020年半ばの為替レートは、20円よりも下で推移しています。
為替レート水準は、半分以下になってしまいました。
もっと長期間の推移を確認しましょう。ローソク足では見づらくなるので、ラインチャートです。
2006年以降を見ましても、円高傾向に変化はないようです。しかし、よく見ますと、円高と一言で片づけるのは不適切かもしれない、と分かります。
下に、赤で矢印と四角を追加しました。
赤の矢印部分は、2008年のリーマンショックを中心とする値動きです。一気に円高になっています。しかし、為替レートだけでなく、株価なども一気に下落した時期です。
よって、この部分は、トルコが原因で円高になったと判断できないでしょう。
また、リーマンショック後から2014年まで、やや円高ですが、レンジだとみなすこともできます。2015年以降のような、大きく一方的な円高ではありません。
エルドアン大統領の政策
2015年以降のトルコリラ/円がさえない理由ですが、いくらかをエルドアン大統領の政策に見出せます。
トルコリラを安くする政策を連発してきたためです。結果として、為替レートはその通りになっています。
今後も円高が続くかどうか、それは大統領の政策を見ていけば、ある程度予想できそうです。
【トルコリラ/円】さらに長期的なチャート
では、大統領がトルコリラを強くする政策を実行すれば、トルコリラ/円は円安になったのか?ですが、そうとも言い切れません。
と言いますのは、超長期チャートを見ると分かります。下の通りです。
これはいったい何だ?とビックリしてしまいそうなチャートです。一番左は1993年です。この時のチャートは9,000と表示されています。
大統領ひとりの力で、この円高トレンドを変えるのは、あまりに難しいと予想できます。
すなわち、「買って長期保有する」という手法は、トルコリラ/円については採用しづらいのでは?と考えられます。
トルコリラ/円トレードの攻略方法
では、この通貨ペアを避けて、他の通貨ペアで取引すべきでしょうか。その選択肢は、検討に値するでしょう。
しかし、他の通貨ペアに比べて圧倒的に大きなスワップポイントを捨ててしまうのは、惜しいと感じるかもしれません。
そこで、トレード手法を検討しましょう。どの通貨ペアにも、それに適した手法があるはずです。
下の2つは、日足チャートです。
日足で見ると、円高一辺倒ではないことが分かります。レンジのような場面もありますし、円安トレンドになっている場面もあります。
【トルコリラ/円】値動きの大きさ
また、注目できるのは、値動きの大きさです。上のチャートを見ますと、1日で30銭くらい動くのは珍しくないと分かります。
値動き:30銭
為替レート:15円~18円くらい
すなわち、1日で為替レート水準の2%動いても、驚かない
米ドル/円などの主要通貨ペアと比較しますと、この値動きがいかに大きいか分かります。下は、米ドル/円の場合です。
値動き:100銭動いたら、「今日は動いたなあ!」と感じる
為替レート:105円~115円くらい
すなわち、1日の値動きは、為替レート水準の1%未満
通貨ペアごとに、為替レート水準(数字の大きさ)が違います。
よって、値動きの大きさに気付きづらいですが、トルコリラ/円はスワップポイントだけでなく値動きも大きいです。
売りが有効
よって、明らかな下落トレンドの場合は、売りが有効だと予想できます。スワップポイント損が気になりますが、それよりもはるかに大きな利食いを期待できるからです(値動きが大きいから)。
しかし、取引の状況を見ますと、日本のFXでは買い取引が圧倒的に多いです。スワップポイントが欲しいからでしょう。
そこで、買い取引で成功できる方法が必要になります。
【トルコリラ/円】リピート系FXで攻略
ここで活躍できそうなのが、トラリピに代表されるリピート系FXです。
イメージ図は、下の通りです(青の曲線は、為替レートの動きです)。
円高になるたびに、青丸部分で少しずつ買います。それぞれのポジションが一定の含み益になったら、利食いします(赤丸)。そして、円高になったら再び少しずつ買っていき…と繰り返す方法です。
この方法なら、ポジションを持ってから利食いするまでの間に、大きなスワップポイントをもらえます。利食いもできます。
しかし、上の図の基本形では、少々都合が悪いです。なぜなら、トルコリラ/円は、長期的に見ると円高傾向だからです。
そこで、トレードの修正が必要になります。下が、その修正版です。
分かりやすくするために、為替レート推移と買う印(青丸)だけ残したものを下に表示します。
値動きが進むにつれて、買い注文の位置が下がっていることが分かります。こうすれば、「買ったけれども利食いできずに困った」という事態になりづらいです。
仮に、決済できずに含み損になっても、切り抜ける方法があります。
- スワップポイント益の蓄積
- リピート系FXの利食い
リピート系FXは、利食いをどんどん繰り返します。それに加えて、高いスワップポイントも得られます。
そこで、証拠金が増えたら、含み損になってしまったポジションを損切りすればOKです。損切りしても、証拠金が増えた後に実行していますので、損しないで済みます。
基本は、このような技を使わなくて済むように、取引が進むにつれて円高で買います。
【トルコリラ/円】トレードに最適なFX口座
円高を考慮して注文位置をズラす方法は、有効だと予想できます。そこで、自動売買でこの方法ができるFX業者を、ご案内しましょう。
2つあります。
- トライオートFX
- マネーパートナーズ(連続予約注文)
いずれのFX業者も、「あるポジションを買って、利食いしたら、次はどこで買うか」という指定を詳細に設定できます。
自動売買なので、ひとたび稼働すれば、ある程度放置できます。とても楽です。
安全度を高くしたい場合は、利食いに成功したら、元の買い注文の位置よりも大幅に円高の位置で再発注します。注文を少しずつ円高にずらしたい場合は、その設定も可能です。
では、この2つのFX口座のうち、どちらが良いか?です。トライオートFXの方が便利です。
リピート系FXは、複数の注文を同時に発注するのが特徴です。下の図では、4つの注文を描いていますが、実際にはもっとたくさん発注するでしょう。
トライオートFXの場合、注文数が多くても、1回の発注で完了します。また、注文を稼働したら、放置できます。取引を止めるという操作をしなければ、延々と取引してくれます。
マネーパートナーズの場合は、この機能がありません。よって、簡単に取引したい場合、トライオートFXが有利です。