ハイローチャネル(High Low Channel)とは、トレンド系でもオシレーター系でも使えるインジケーターです。
そこで、その見方や使い方を確認しましょう。
ハイローチャネルのチャート
ハイローチャネルを表示したチャートを先に確認しましょう。下の通りです。赤と青の点がたくさんあるのが特徴です(マネーパートナーズから引用)。
この点は何か?ですが、「過去X日間の最高値と最安値」を示しています。
【FXチャート分析】ハイローチャネルの描き方
図を使って、具体的に確認しましょう。下に、ローソク足が3本描いてあります。「過去3本のローソク足を使って、ハイローチャネルを描く」とします。
すると、下の通りになります。高値の中で最も高いのは、一番左のローソク足です。そこで、その高値に赤丸を描き、残りの2つのローソク足も同様にします。
安値についても、同様に描きます。
そして時間が経過し、ローソク足が1本追加されました。
下は、新しいローソク足ができた様子を示します。直近3つのローソク足のうち、最も高値なのは、一番右のローソク足です。そこで、その部分に赤丸を描きます。
一方、直近3つのローソク足のうち、最も安値なのは、右から2つ目のローソク足です。そこで、その安値の位置に青丸を描きます。
これを繰り返すと、ハイローチャネルの出来上がりです。
インジケーターと言えば、為替レートを使って計算し、その結果を表示するという例が一般的です。ところが、ハイローチャネルは計算不要です。
指定期間の最高値と最安値だけを使いますから、とても分かりやすいです。
インジケーターを使う場合、どうなったら買い、どうなったら売りというルールがあります。
しかし、「なぜ買いなのか」「なぜ売りなのか」を知らずに使っていると、応用が利かない場面に遭遇するかもしれません(それはすなわち、損につながりやすいです)。
その点、ハイローチャネルは仕組みが簡単なので、分かりやすいという安心感があります。
【FXチャート分析】ハイローバンド(HLバンド)
ちなみに、ほぼ同じ意味で「ハイローバンド(HLバンド)」があります。下のチャートは、ヒロセ通商からの引用です。
緑色の線は、指定期間の最高値を結んだ線です。青色はその反対で、指定期間の最安値を結んだ線です。
そして、緑色の線と青色の線の平均値が、赤線です。
赤線は何に使うか?ですが、チャート全体のトレンドを把握するのに使います。右肩上がりなら上昇トレンド、右肩下がりなら下落トレンドです。
ハイローチャネルのトレンド系としての使い方
では、使い方を確認しましょう。最初に、トレンド系としての使い方です。
下は、売りの場合です。赤矢印部分で売ります。すなわち、為替レートがハイローチャネルの青線を下方向に抜けたところです。
次に、買いの場合を見てみましょう。売りの反対になります。すなわち、為替レートがハイローチャネルの赤線を上方向に抜けたところです。
売り・買い、いずれの場合も、赤矢印で取引していれば、期待通りの成績でした。それは、トレンドに乗って取引したからです。
トレンドでないところでこの方法を使うと、損切りを繰り返すことになります。
レンジ相場でのトレード失敗例
下は、レンジ相場で上の手法を使ってしまった場合の様子を描いています。
左側の矢印で買いますが、為替レートはすぐにレンジに戻っています。同様に、右側の矢印部分で売りますが、為替レートは期待通りに下落していません。
すなわち、ハイローチャネルで成功できるかどうか?は、トレンド相場を適切に読めるか?にかかっていると言えそうです。
では、この赤線と青線だけでトレンドを読めるか?ですが、少々難しい印象です。そこで、移動平均線などを使うのが候補になります。
もう一つ気を付けたいのは、取引開始ポイントは明確ですが、どこで決済するか?については、ハイローチャネルは示唆を出してくれません。
そこで、何か自分でルールを決めます。
決済ルールの例
決済例1
- 取引値から1.0%の含み益で利食い
- 取引値から0.5%の含み損で損切り
決済例2
- 移動平均線を同時に使い、デッドクロスしたら決済
トレンドで大きく利食いしたい場合は、決済例2などの方法が候補になります。
ハイローチャネルのオシレーター系としての使い方
次に、オシレーター系としての使い方を確認しましょう。すなわち、安値で買って、高値で売ります。
- 為替レートが下側の線あたりまで来たら、買い。
- 為替レートが上側の線あたりまで来たら、売り。
レンジ相場で活躍できる手法です。下のチャートで、赤枠を追加しました。レンジ相場になっていると分かります。
そこで、ハイローチャネルの安値付近まで為替レートが進んだら、買います(赤矢印部分)。
このオシレーター系としての使い方は、決済位置を決めるのが比較的容易です(下の例は、買い取引の場合)。
- 利食い:レンジの上限よりも下で。
- 損切り:レンジの下限を下方向に抜けたら。
レンジ相場は、大きな利幅を狙うトレードではありません。その分だけ、損益の計算をしやすいです。
ハイローチャネルのパラメーター
次に、パラメーターの値を考察しましょう。最適な数字はいくつでしょうか。
例えば、パラメーターを10にすれば、過去のローソク足10本を使って、最高値と最安値を表示します。
ハイローチャネルまたはハイローバンドについて、各FX会社の初期設定は以下の通りです。
- マネーパートナーズ:13
- ヒロセ通商:20
- FXプライムbyGMO:20
- 外貨ex byGMO:20
ハイローチャネルやハイローバンドを使えるFX会社は、それほど多くありません。上の4社のうち、3社の初期設定が20でした。
そこで、20を中心に考えるのが候補になります。
なお、パラメーターの数字が小さい場合と大きい場合で、どのように見え方が異なるのか確認しましょう。差がはっきりとわかるように、極端な数字で確認します。
パラメーターが3の場合
数字が小さすぎると、点とローソク足が重なりすぎて見づらいです。最高値・最安値が頻繁に変わりますので、トレードの基準として使うのは難しそうです。
パラメーターが50の場合
次に、数字を50にしてみます。
あまりに数字が大きすぎると、為替レートと赤線・青線の間の距離が遠く離れる場合が出てくると分かります。
この場合、ハイローチャネルをトレンド系シグナルとして使うのは、難しそうです。買い示唆や売り示唆が出た時にはもう、トレンドが終わりに近づいている可能性があるためです。
その一方で、(相場状況次第ですが)オシレーター系としての使い方はできるように見えます。
パラメーターの数字が小さい場合と比べて、赤線も青線も、変化が少ないです。このため、為替レートの上限や下限を見定めるのに使えます。
【FXチャート分析】ハイローチャネル まとめ
以上、ハイローチャネルを概観しました。インジケーターの考え方そのものは、とても単純で分かりやすいです。
また、トレンド系・オシレーター系両方の機能を持っているのも魅力です。
しかし、実戦で使うに際しては、何か別のインジケーターを組み合わせるのが候補になります(特に、トレンド系として使う場合)。