RSI(あーるえすあい)は、オシレーター系インジケーターの代表格です。そこで、RSIの計算式や使い方を確認しましょう。
【FXチャート分析】RSIとは
RSIとは、相場の行き過ぎを判断するインジケーターです。日本語では相対力指数と呼ばれ、Relative Strength Indexの頭文字をつなげたものです。
すなわち、「大きく上昇したから、そろそろ下落に転じますよ」あるいは「大きく下落したから、そろそろ上昇に転じますよ」という示唆を与えてくれます。
このような、相場の行きすぎを判断するインジケーターをオシレーター系と呼びます。
【FXチャート分析】RSIの計算式
計算式は、簡単
RSI=A÷(A+B)×100
A:過去14日間の平均上昇幅
B:過去14日間の平均下落幅
為替レートは、日々上下動します。そこで、上昇期間の上昇幅の平均値と、下落期間の下落幅の平均値を合計します(分母)。
そして、上昇幅の合計を分子に持ってきます。これを100倍して%表示にします。
以下、具体的な数字を使って確認しましょう。
なお、一般的に、RSIの計測で使うローソク足の本数は、14本とされています。そこで、ここでも14日間のデータを使うことにします。
【FXチャート分析】RSIの極端な例
分かり易さ重視で、最初は極端な例から見てみましょう。
14日間連続で円安。平均円安幅は100銭
すなわち、下落した日はありませんでした。
- 平均上昇幅(A)+平均下落幅(B)=100銭
- 上昇幅(A)=100銭
Aを(A+B)で割りますから、RSIは100%となります。100%とはすなわち、計測期間全てが円安だったということになります。
ここまで極端ですと、さすがに次のローソク足では下落に転じるのでは?と期待できます。
実際には、100%という数字は滅多に出てきません。では、どこまで数字が上昇したら下落示唆と判断できるでしょうか。
これは、使う人によって変わってくる話ですが、一般的には75%以上になったら下落示唆だと言われています。
逆に、25%以下になったら上昇示唆だと言われています。
【FXチャート分析】RSIの現実的な例
次に、もう少し現実的な例を見てみましょう。14日間の前日終値比で、上昇・下落の例を書き並べます。
プラスは円安、マイナスは円高を示します。
日数 | 値動き(銭) | 日数 | 値動き(銭) |
---|---|---|---|
1日目 | +60 | 8日目 | +42 |
2日目 | -38 | 9日目 | -72 |
3日目 | +20 | 10日目 | +120 |
4日目 | +15 | 11日目 | -15 |
5日目 | -80 | 12日目 | +20 |
6日目 | +53 | 13日目 | +5 |
7日目 | -65 | 14日目 | +16 |
円安になったのは9日間、円高になったのは5日間です。
円安になった場合の平均値を出します。
(60+20+15+53+42+120+20+5+16)÷9=39(銭)
次に、円高になった場合の平均値を出します。
(38+80+65+72+15)÷5=54(銭)
そして、RSIの公式に当てはめます。
RSI=39÷(39+54)×100=41.94
円安9回、円高5回ですから、大きく円安優勢です。
よって、そろそろ円高に反転するかも?と予想可能ですが、RSIは41.94です。すなわち、円高にも円安にも示唆を出していません。
この理由ですが、円安になるときは上昇幅が比較的小さく、下落する時は比較的大きかったからです。
RSIは、上昇や下落した日数でなく、どれくらいの大きさで動いたか?を考えます。
なお、上の表は、14日分を表示しています。その次の日、すなわち15日目になったらどうするかですが、1日目の為替レートの数字を外して、15日目の数字を計算に入れます。
こうして、常に最新の14日分の数字でRSIを計算していきます。
RSIのパラメーターは14にすべきか
ちなみに、FX業者のツールでRSIを調べると、パラメーター(変数)は14になっているでしょう。日足なら14日間、1時間足なら14時間です。
では、14という数字は絶対なのか?ですが、自由に変えて構いません。RSIを考案したワイルダー氏が、14が最も良いとしているだけです。
ワイルダー氏が活躍した時代は、1800年代後半です。すなわち、1分足スキャルピングは存在しないでしょう。1時間足のデイトレードも困難だったでしょう。
アクティブにトレードするとしても、一般の人にとっては日足チャートが限界なのでは?と予想できます。
よって、日足よりも短い時間軸については特に、14という数字に縛られる必要はありません。
また、150年ほど前のデータを使った結果です。現在も14をそのまま適用して良いか?という問題もあります。
14という数字を無視できない
というわけで、パラメーターは14である必然性はないのですが、無視できない数字でもあります。
と言いますのは、RSIを使う多くの人が、14という数字を基準値と見なしているからです。
すなわち、RSIを使う人のうち、パラメーターを14にして取引している人が最多だと予想できます。
その大勢が、「買いチャンスが来た」「売りチャンスが来た」と思って取引したら、相場に少なからず影響を与える可能性があります。
ということは、自分もその流れに乗った方が得です。
このため、パラメーターの14は絶対でないけれども無視できない、という数字です。どれが最良なのかについては、チャートを見ながら検証していくことになります。
トレンド相場以外で活躍
次に、RSIが活躍できる相場と、そうでない相場を見ていきましょう。RSIはオシレーター系です。すなわち、トレンド相場以外で活躍します。
下は、ユーロ/円の日足チャートです(マネーパートナーズから引用)。トレンド相場ではないことが分かります。
上のチャートで、RSIの頂点になっている部分に赤丸を描きました。その時点のローソク足を見ますと、為替レートが下落に転換していることが分かります。
いつもこのようになるというわけではありませんが、このような関係になっているチャートを探すのは、比較的容易です。
すなわち、実際のトレードでも採用できそうです。
RSIのダマシ~トレンド相場は苦手
しかし、残念ながら、RSIはいつも期待通りに機能するわけではありません。その代表格は、トレンド相場です。
上のチャートは、ユーロ/米ドルです。買い示唆になっている部分を、赤枠で囲みました。RSIが小さくなっているので、買うのがメインシナリオです。
ところが、実際の為替レートを見ますと、下落し続けています。この状態で買うと、簡単に含み損になってしまうことでしょう。
RSIなどのインジケーターが売買の示唆を出していて、その通りに取引すると損になってしまう状態を「ダマシ」と呼びます。
オシレーター系のインジケーター全体に言えることですが、トレンド相場ではダマシが出やすくなります。よって、何か工夫が必要です。
あるいは、トレンド相場でRSIを使おうとせず、別のインジケーターを参照するという選択肢もあるでしょう。こちらの方が自然です。
ダマシ回避のトレード例
では、RSIを使ったトレード例を考察しましょう。下は、ユーロ/米ドルの日足チャートです。
ダマシに遭わないように気を付けながらトレードします。
赤線1は、上値抵抗線を示しています。為替レートが赤線1付近まで来ると、なぜか反落してきたという線です。レンジ相場になっていることが分かります。
そして、上値抵抗線を超えて上方向に進んだ状態が、矢印2です。レンジの上限を抜けて上昇したのですから、上昇トレンドだと判断できます。
そして、赤丸3を見ますと、RSIが売りを示唆しています。
ここで売るか?ですが、売りません。と言いますのは、現在は上昇トレンドだと判断できるためです。
ローソク足を見ますと、為替レートはほとんど下落していません。すなわち、売らないで正解でした。
ダマシ回避が期待通りにならない場面
しかし、実際には、売った方が良かったという場合もあります。それは、矢印2の上昇トレンドがダマシだったという場合です。
結果として上昇トレンドがダマシで、売った方が良かったという場合でも、ここは売らずに見送るのが正解でしょう。と言いますのは、トレードは今回1回限りでなく、これからも続くからです。
上昇トレンドでもRSIに従って売り続けると、たまにはトレンドがダマシで利食いできたとしても、トレードを繰り返した合計は損失になるのでは?と予想できます。
1回のトレードの勝敗に関わらず、利食い可能性が高いルールを採用することが必要です。
チャートに戻りまして、右端でさらに上昇しています(矢印4)。赤丸5でRSIは売り示唆となっていますが、ここでも売らず、見送ります。
こうして、RSIのダマシを回避しつつ、利食いできるところでしっかりトレードします。
【FXチャート分析】RSI:トレード手法としての有効性
では、RSIがトレード手法としてどれだけ有効なのか、調べてみましょう。具体的には、バックテストをします。
バックテストとは、過去の為替レートを使って、特定のトレード手法が有効かどうかを調べることです。
ここでは例として、ユーロ/円を採用しましょう。そして、以下の手法にします。
ユーロ/円によるバックテスト
条件
■使用するインジケーター
- RSI(パラメーターは14)
■トレード手法
- RSIが30%を上回ったら1万通貨買い、利幅20pipsで決済、含み損10pipsで損切り
- RSIが70%を下回ったら1万通貨売り、利幅20pipsで決済、含み損10pipsで損切り
■取引期間:2010年1月4日~2019年12月31日(10年間)
「RSIが30%を上回ったら」の意味ですが、RSIが20%台またはそれ以下で推移していて、その後、30%を上回るということです。
バックテストと言えばMT4が有名ですが、一般的には難しすぎます。そこで、マネーパートナーズ(マネパ)のツール【HyperSpeed NEXT】を使います。
マネパだと、バックテストが簡単にできます。
取引結果をグラフで確認しましょう。下の通りです。
RSIによるトレードは機能するか?ユーロ/円の取引結果
横軸は、トレード回数です。縦軸は、損益です。
10年間の収支は+104,000円となりました。
少なくともユーロ/円については、RSIのトレード手法が有効だったと言えます。今後も同様に有効だとは断定できませんが、10年間有効だったというのは大きな実績です。
トレードの参考になるでしょう。
なお、「右肩上がりなのは満足だけれど、もっと収益が欲しい」という場合もあるでしょう。
その場合は、マネパのツール【HyperSpeed NEXT】を使って、いろいろ検証してみましょう。MT4と違って、簡単にバックテストできます。