米ドル/南アフリカランド(USD/ZAR)の特徴を30年分のチャートから読み解く!トレード手法まで徹底解説!

南アフリカランド(南アランド)を取引したい場合、一般的には南アランド/円でしょう。しかし、米ドル/南アランド(USD/ZAR)で取引することもできます。

そこで、米ドル/南アランド特徴を確認しましょう。
その後、この通貨ペアのトレード方法について検討します。

目次

米ドル/南アランド(USD/ZAR)の長期チャート

特徴を把握するには、長期チャートを見ると分かりやすいです。下は、1997年後半から表示しています(マネーパートナーズから引用)。

米ドル/南アランド(USD/ZAR)の長期チャート

上のチャートで分かるのは、基本的に上昇傾向だということです。すなわち、米ドルは南アランドに対して強くなり続けています。

そして、どれくらいのペースで上昇しているか?ですが、1997年頃、米ドル/南アランドの為替レートは4台でした。ところが、2020年になると19台を実現しました。

すなわち、23年くらいの間に、為替レートは4倍~5倍になった(言い換えれば、南アランドは米ドルに対して、価値が4分の1~5分の1になった)ということです。

米ドル/南アランドの売りポジションを長期的に保有していたら、とんでもない損失になっただろうと分かります。

【米ドル/南アランド】4つの大相場

全体的に右肩上がりというほかに、大きな特徴が見つかります。それは、大相場が4回あったということです(下に数字で示しています)。

米ドル/南アランドの4つの大相場

これは、一体何でしょうか。それぞれの部分を拡大したチャートを見ながら確認しましょう。

【米ドル/南アランド】2001年~2002年

1990年代後半から為替レートが上昇を続け、2001年後半にクライマックスになっています。この時期は、ドットコムバブルの崩壊と一致します。

世界的な不景気が、米ドル/南アランド(USD/ZAR)にも影響していることが分かります。

なお、チャートの左側(1998年)にもちょっとした山がありますが、これは1997年~1998年にかけて起きたアジア経済危機の影響だと思われます(下図)。

1998年の米ドル/南アランド相場

ドットコムバブルもアジア経済危機も、南アフリカで起きた問題とは言えそうもないですが、為替レートは大きく反応しています。

この間の為替レートの推移は、以下の通りです。

安値:6弱
高値:14弱
安値:6弱(高値を付けた後の安値)

上昇の起点(安値)をどこにすべきか判断が難しいですが、ここではアジア経済危機後安値を起点とします。

安値、その後の高値、そして高値後に付けた安値を比較しますと、とてもダイナミックな動きだと分かります。為替レートが2倍以上に大きくなり、再び元の位置付近まで下落しています。

すなわち、この波に乗れれば、大きな成功を得られました。

ちなみに、下のチャートのように補助線を引いてみました。サポートライン(下値支持線)です。

米ドル/南アランドのトレンド(1998年)

安値から高値に進む際、サポートラインを下回ることなく推移してきました。そして高値を付けた後、為替レートはサポートラインを割り込んでいることがわかります。

この先のチャート分析で使いますので、この動きを頭の片隅に置いて、次に進みます。

【 米ドル/南アランド】2008年あたり

2008年あたりでも、大きな山ができています。2008年と言えば、リーマンショックを中心とした危機の時代です。

2008年の米ドル/南アランド相場

安値:6弱
高値:12弱
安値:7弱(高値を付けた後の安値)

こちらも、値動きがとても大きいです。

なお、為替レートが上昇したということは、米ドルが強くなって南アランドが弱くなったということですが、リーマンショックはアメリカ国内の出来事です。

これが、新興国通貨の悲哀と言いますか、難しいところです。先進国の出来事なのに、新興国の方に大きなダメージがやってきます。

新興国は先進国に振り回されてしまう様子が、為替レート推移で良く分かります。

そしてここでも、サポートラインを確認しましょう。

米ドル/南アランドのトレンド(2008年)

高値を付けた後の下落で、サポートラインを割り込んでいることが分かります。

【 米ドル/南アランド】2015年~2016年

次は、2015年~2016年あたりです。上の2つは、経済上のショックが原因でした。3つ目のこの急上昇は、何が原因でしょうか。

2015年~2016年の米ドル/南アランド相場

安値:7弱
高値:18くらい
安値:12弱(高値を付けた後の安値)

過去のニュースを振り返っても、この時期に大きなショックを見つけるのは難しいです。この上昇の原因は、米国の政策金利引き上げです。

2007年にサブプライムローン問題が生じて以降、アメリカは政策金利を劇的に引き下げました。その結果、経済は徐々に復活し、2015年に入ると、政策金利引き上げはいつになるか?が話題に上るようになりました。

これが、南アフリカなど新興国にとって大問題でした。その理由は、以下の通りです。

当時、アメリカの低金利でお金を借り、新興国で投資する活動が活発でした。ところが、米国の政策金利が引き上げられると、貸出金利も高くなりますので、金利負担が大きくなります。

そこで、借金をして新興国に投資していた人は、資金を引き揚げて返済に走ります。新興国にとっては大問題です。自国からお金が逃げてしまうからです。

これが、南アランド売り・米ドル買いに直結し、為替レートがぐんぐん上昇していきました。

クライマックスは、実際に政策金利引き上げが始まった頃(2015年12月)です。そのあたりで米ドル/南アランドは高値を付けて、再び下落していきました。

さて、ここでも、サポートラインを確認しましょう。高値実現後の下落過程で、サポートラインを割り込んでいることが分かります。

米ドル/南アランドのトレンド(2015年~2016年)

【 米ドル/南アランド】2020年あたり

相場の山の4つ目、2020年あたりを確認しましょう。これが最後です(下のチャートの右側の山)。

2020年の米ドル/南アランド相場

安値:12弱
高値:19台
安値:?

2020年の山は、新型コロナウイルス問題を受けたものです。世界のどこかで大きな危機(あるいはイベント)があると、いつも南アランドは弱くなる方向に作用してきました。

新型コロナウイルス問題でも、同様です。

では、ここでもサポートラインを引いてみましょう。

米ドル/南アランドのトレンド(2020年)

上のチャートを見ますと、米ドル/南アランド(USD/ZAR)は下落している最中です。さて、どこまで下落するでしょうか。

将来の為替レートは、誰にも分かりません。しかし、考えることはできます。その手掛かりとして、今まで見てきたサポートラインが使えます。

過去3回の値動きが今回も当てはまるなら、まだ下落し続けると想定できます(目途は、サポートラインを割り込むあたり)。

米ドル/南アランド(USD/ZAR)のトレード手法

以上、米ドル/南アランド(USD/ZAR)の月足チャートを確認しました。これだけでも、トレード手法をいくつか検討できますので見ていきましょう。

なお、月足チャートでの分析ですから、ポジション保有期間は1年~数年になる場合もあります。

また、この手法(案)は、過去の値動きから考察したものです。将来の値動きを見て考えた手法ではないので、慎重な取引が必要です。

案1:上昇トレンドになったら、買って長期保有

最も分かりやすい方法です。南アランドは年単位で見れば弱くなる傾向がありますから、上昇トレンドになったら買って長期保有するという方法です。

買ってからの下落を少しでも抑えたいという場合は、上昇トレンドにある為替レートがサポートライン近くまで下落したときに買う、という方法もあります。

利食いするタイミングは、上昇している為替レートの傾きがさらに大きくなって、しばらく推移してからです。

過去4回とも、上昇角度は2段階に分かれています。

  • 第1段階:緩やかな上昇
  • 第2段階:急激な上昇

今後も同様になることに期待する方法です。

案2:急激に上昇したタイミングで買って、短期的に利食い

トレード手法案の2つ目は、上昇してきた為替レートの角度が急激になったところで買う方法です。この方法を使うと、案1に比べてポジション保有期間を短くできます。

長期保有が苦手だという場合に、参考になりそうです。

案3:下落に転じたら売り

為替レートが上昇し、角度が急激になり、その後、下落に転じたところで売る方法です。どこで利食いすれば良いか?については、既にチャート分析で見た通りです。

過去実績が繰り返されると想定するなら、サポートラインをしっかりと下回ったところで利食いです。

米ドル/南アランド(USD/ZAR)のスワップポイント

以上、長期チャートを眺めて特徴を見つけ出し、トレード手法を考えてきました。これらのトレード手法は、取引開始から終了までの期間が長期になります。

短く見積もっても、数か月以上になるのでは?と予想できます。

ということは、スワップポイントがどうなっているのかを知ることが大切です。

と言いますのは、為替レート上昇を狙っても、買いポジションのスワップポイントがマイナスなら、果たして買って良いかどうか、慎重な検討が必要だからです。

ところが、米ドル/南アランド(USD/ZAR)の長期間のスワップポイントを取得するのは困難ですし、FX会社ごとに数字が異なります。

そこで、政策金利を使って、スワップポイントの大まかな傾向を確認しましょう。

米国と南アフリカの政策金利

下は、米国と南アフリカの政策金利の推移です(赤線:南アフリカ、青線:米国)。

米国と南アフリカの政策金利グラフ

上のグラフで、明らかに分かることがあります。それは、「2000年以降について、南アフリカの政策金利は、米国よりも常に高かった」ということです。

すなわち、米ドル/南アランドを買うと、スワップポイントはマイナスになります。では、どれくらいのマイナスになるか?を考えるために、2国間の政策金利差グラフを見てみます。

米国と南アフリカの政策金利差グラフ

【 米ドル/南アランド】政策金利差の意味

2000年初めころ、政策金利差が10%を超えることもありました。この10%の意味を具体的に知るために、米ドル/円で考えてみましょう。

米ドル/円=100円で、日米の政策金利差が10%だとします。この場合のスワップポイントは、1万通貨で1日あたり274円になります。

大変な数字だと分かります。

米ドル/南アランド(USD/ZAR)を買うと、このような大きなスワップポイント損が毎日発生しました。これでは、上昇を狙って長期保有するのは、大変な精神力が必要になります。

しかし、今の試算は、政策金利差が最も大きかった時期を基準にしています。2020年現在ですと、政策金利差は3%台になっています。

ざっくりとみて、10%の3分の1ですから、スワップポイント損は大幅に緩和されます。

長期保有ですと、スワップポイントのマイナスは痛いです。しかし、以前に比べると買いの長期保有がしやすくなっていると言えそうです。

逆に、売りポジションを持つ場合は、心理的にトレードしやすいです。と言いますのは、スワップポイントのプラスが大きいからです。

問題は、米ドル/南アランド(USD/ZAR)は長期的に上昇傾向だということです。

為替レートは上昇傾向、しかし、買うとスワップポイントの損が大きい…というわけで、上で考察しましたトレード手法3が脚光を浴びます。

トレード手法案3

為替レートが急上昇から下落に転じたところで、売り。

この記事を書いている2020年10月時点で、為替レートは下落に転じています。

今まで考察した内容を知っていて、かつ、売りポジションを持つことができた場合、今のところ含み益とスワップポイント益のダブルで好調になっていることでしょう。

(今後はどうなるか?は不明ですので、安全重視で取引することになります。)

米ドル/南アランド(USD/ZAR)を取引可能なFX会社

最後に、米ドル/南アランド(USD/ZAR)を取引可能なFX会社を、いくつか確認しましょう。マイナー通貨ペアですので、取引可能なFX会社は限られます。

スプレッドも同時に比較します。

FX会社名スプレッド
マネーパートナーズ【PFX口座】20pips前後
ヒロセ通商72pips~179pips

マネーパートナーズとヒロセ通商で取引可能ですが、スプレッドの差が大きいです。これほどの差があると、マネーパートナーズで取引するのが自然です。

なお、米ドル/南アランド(USD/ZAR)は固定スプレッドではありません。取引する際に、スプレッドも念のため確認した方が良さそうです。

また、このスプレッドを見ますと、デイトレードやスイングトレードは難しいと分かります。

ヒロセ通商を使う場合、100pipsの利幅を取ったと思っても、まだスプレッドの損を埋めるまでに至っていない…というのもあり得ます。

そこで、この記事で確認しました通り、長期トレードが主役になるでしょう。長期トレードなら、スプレッドの数十pipsは誤差として軽視可能です。

【 米ドル/南アランド】まとめ

米ドル/南アランド(USD/ZAR)は、長期的に上昇トレンドにありますが、上昇と下落には一定のリズムがあることが分かります。

1990年代後半以降、同じリズムが3回繰り返されており、この記事を書いた時点で4回目です。

この4回目も、過去3回と同じような値動きになるのか、それとも異なる値動きになるのか、注目です。

同じ値動きになると考えるなら、売りのトレードチャンスです。スワップポイントはプラスですし、積極的に狙えます(ただし、相場に絶対はないので、リスク管理も大切に)。

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この記事を書いた人

イーストのアバター イースト Webディレクター兼トレーダー

・慶應義塾大学経済学部
・1級ファイナンシャルプランニング技能士
・証券アナリスト(CMA)
・証券外務員一種
・TOEIC895点

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