米ドル/メキシコペソ(USD/MXN)の特徴を40年分のチャートから読み解く!スワップポイント・トレード戦略まで徹底解説!

米ドル/メキシコペソは日本ではマイナーな通貨ペアですが、FXにおいては根強い人気のある通貨ペアです。

そこで、この通貨ペアの特徴を確認しましょう。

目次

米ドル/メキシコペソの長期チャート

下は、1979年以降の、米ドル/メキシコペソの長期チャートです(マネーパートナーズから引用)。マネーパートナーズでは、このような長期チャートを取得できるのが魅力です。

米ドル/メキシコペソ(USD/MXN)の長期チャート

チャート形状を見ますと、1990年代半ばまでは値動きがとても小さいです。その後、大きく上下動しながらも全体としては上昇トレンドを維持して現在に至ります。

日本で個人向けFX市場が開放されたのは1998年ですし、2000年以降の週足チャートに絞って考察しましょう。

データ取得方法ヒストリカルデータを取得しよう

余談ですが、上のチャートは、月足のヒストリカルデータをCSVファイルにエクスポートして、制作したものです。

エクスポートの方法は簡単です。マネーパートナーズのツール【Hyper Speed NEXT】にチャートを表示し、マウスを右クリックします。

そして、メニューから「データ出力」を選択するだけです(下図)。

月足ヒストリカルデータ(米ドル/メキシコペソ)取得方法

日足などでも取得可能ですから、エクセルで分析したい場合に特に重宝します。

では、本題に戻りましょう。

【米ドル/メキシコペソ】週足チャート

下は、2000年以降の週足チャートです。全体としては上昇トレンドですが、直線的な上昇ではありません。

米ドル/メキシコペソ(USD/MXN)の週足チャート

【米ドル/メキシコペソ】リピート系FXに向いた展開

例えば、2000年から2008年くらいにかけて、ほぼ横ばいで推移しています。これだけ長期間のレンジ相場でしたら、リピート系FXで面白いように利食いを繰り返せたことでしょう。

また、2010年代の前半も、概ねレンジ相場でした。

2010年代前半は、2000年代と比べて上下動が大きいレンジです。すなわち、さらにリピート系FXに向いた展開でした。

では、レンジ相場が年単位で続いてきたのに、全体としてはなぜ上昇トレンドなのか?ですが、比較的短期間のうちに上昇した時期がいくつかあるためです。

下のチャートに、該当部分を3か所、矢印で示しました。順に確認していきましょう。

米ドル/メキシコペソ(USD/MXN)のトレンド期間
矢印1:2008年頃リーマンショック

2008年を中心とする期間は、リーマンショックの影響が大きいです。米ドル/メキシコペソ=10くらいでしたが、一気に15になった様子が分かります。

この急激な変化は、米ドル/メキシコペソに限ったものではありません。どの通貨ペアも、大きな変動がありました。

矢印2:2015年~2016年くらいアメリカの政策金利引き上げ

矢印2の部分は、比較的長期間に渡って上昇角度が大きくなっています。これは、アメリカの政策金利引き上げが影響しているでしょう。

2007年のサブプライムローン問題から2008年のリーマンショック、そして2010年代前半のユーロ危機など、世界経済は大変な時期を過ごしてきました。

しかし、世界経済は徐々に回復の兆しを見せ、それに伴って、アメリカの政策金利の引き上げ開始が市場関係者に意識されるようになりました。2015年のことです。

すると、新興国通貨の価値が下落し、米ドルの価値が上昇を始めました。米ドル/メキシコペソの場合、上昇です。

このカラクリですが、以下の通りです。

アメリカの低金利でお金を借り、メキシコなど新興国で投資に充てられていた資金が大量にありました。

ところが、アメリカで政策金利が引き上げられると、各種貸出金利も上昇します。利払いが大きくなるのを嫌って、新興国に投資していた資金をアメリカに引き上げて返済する動きが出てきました。

これが、為替レートにも反映されたということです。

矢印3:2020年新型コロナウイルス

そして矢印3は、2020年の新型コロナウイルス問題を受けた値動きです。

3月から4月にかけて相場全体がパニック的な動きになり、WTI原油先物5月限の価格は、一時的にマイナスになるほどでした。

価格がマイナス?

ちなみに、価格がマイナスになるとは、「原油を買うとお金をもらえる」「原油を売るとお金を支払う」ということです。意味不明な状態が起きてしまったということですから、この時の暴落のパニックぶりが良く分かります。

【米ドル/メキシコペソ】値動きの特徴

以上の内容から、値動きの特徴を見ていきましょう。長期的には上昇トレンドながら、レンジで推移する期間も長かったというのは、既に見た通りです。

そして、何らかのイベントが起きると大きく上昇したのですが、「上昇後」の値動きに注目できそうです。

矢印2は、経済の回復を受けて、徐々に変化しました。これは為替レートが経済の実態を反映する動きです。

その一方、矢印1と矢印3は、少々異なります。突発的な動きであり、人々のパニック的な行動も合わさって値動きがあまりに大きくなりました。

その結果、為替レート上昇後に、徐々に下落した様子が分かります。

  • レンジ期間が年単位に及ぶ
  • 一気に上昇速度を速める時期がある
  • 一気の上昇後は、やや下落する傾向も

今後の値動きは、将来のことですので不明ですが、過去20年以上の値動きは以上の通りでした。

今後も同じようになる可能性を想定すると、トレード戦略を構築しやすいでしょう。

【米ドル/メキシコペソ】スワップポイントの推移

以上、米ドル/メキシコペソの為替レートについて確認しました。次に、スワップポイントを概観します。

メキシコペソは、新興国通貨です。新興国通貨ペアと言えば、スワップポイントが大きいです。スワップポイントに魅力を感じる人は多いでしょう。

とはいえ、スワップポイントはFX会社ごとに数字が異なりますし、長期的な実績を取得するのは困難です。そこで、アメリカとメキシコの政策金利差を比較します。

(政策金利差とスワップポイントは異なる値になりますが、政策金利は短期金利に多大な影響を与えます。このため、政策金利差の推移を見ますと、スワップポイントのおおよその推移を把握できます。)

下のグラフは、2008年以降の政策金利の推移です。

アメリカとメキシコの政策金利差グラフ

比較するまでもなく、メキシコの政策金利の方が圧倒的に高いと分かります。すなわち、米ドル/メキシコペソを買うと、スワップポイントはマイナスです。

プラスにしようと思えば、売りポジションを持ちます。

ところが、既に確認しました通り、米ドル/メキシコペソは長期的に上昇傾向にあります。上昇なら買って長期保有したいところですが、政策金利差がこれだけ大きいと、スワップ損が大きくなります。

長期保有の買いは、精神的にとても難しいです。

【米ドル/メキシコペソ】トレード戦略(長期)

以上の考察を踏まえ、トレード戦略を考えてみましょう。ここでは、主に長期です。買いポジションの長期保有は難しいという想定です。

レンジ相場のとき(その1)

主にリピート系FXで取引。売りで取引して利食いを繰り返し、為替レートが上昇して最終的に損切りになっても、損益合計でプラスを目指す。

レンジ相場のとき(その2)

主にリピート系FXで取引。両建てで利食い速度を高めて、最終的に損切りになっても、トレード合計で大幅プラスを目指す。

大きなイベントがあるとき

過去実績を見ると、為替レートが上昇しやすいです。将来、イベントが起きるときに上昇しそうなら、買いを検討できます。スワップポイント損よりも大きな利幅期待です。

大きなイベントの後

何かイベントがあって急上昇したら、その後は下落傾向にありました。今後も同様になると想定する場合、売りポジションを保有できます。スワップポイントがプラスになるのがメリットです。

【米ドル/メキシコペソ】トレード戦略(短期)

次に、短期のトレード戦略を考えます。短期トレードの場合、スワップポイントよりもスプレッドの方が重要です。

そこで、先にスプレッド比較をします。

スプレッド比較

新興国通貨ペアは、米ドル/円など主要通貨ペアに比べてスプレッドが広くなる傾向があります。よって、少しでもスプレッドが狭いFX会社の選択が重要です。

FX会社のスプレッド比較をしましょう。米ドル/メキシコペソを取引できるのは、ごくわずかです。主な2社を確認します。

FX会社USD/MXNのスプレッド
マネーパートナーズ20pipsくらい
ヒロセ通商62pips~99pips

スプレッド比較では、マネーパートナーズの圧勝です。なお、「20pipsくらい」と書きました。これは、原則固定のスプレッドでないためです。

マネーパートナーズの取引ツールにログインして調査した数字を掲載しています。

また、ヒロセ通商の場合、米ドル/メキシコペソの取引可能時間は、日本時間の16時から25時までとなっています。取引可能時間の面から見ても、マネーパートナーズが有利だと言えます。

短期トレード手法

スプレッド比較を踏まえて短期トレードを考察しますと、スキャルピングはもちろん、デイトレードも困難だと分かります。

と言いますのは、スプレッドが20pipsもあるからです。そこで、短期といってもスイングトレードになるだろうと分かります。

スイングトレードなら、何かイベントが起きた時の大幅上昇を狙って買うことができます。また、イベント終了後の下落を狙って売ることも可能です。

売る場合は、大きなスワップポイントも期待できます。

とはいえ、大きなイベントがないときは、概ねレンジ相場になっていることを確認しました。すると、スイングトレードには向かないかもしれません。

  • 長期でレンジになっている
  • 大きなスワップポイントが欲しい
  • 利食いも繰り返したい

こういう時は、マネーパートナーズの連続予約注文が活躍します。連続予約注文とは、リピート系FXの一種です。

取引のイメージ図は、下の通りです。

連続予約注文イメージ

青の曲線は、為替レートの動きを表しています。為替レートが動くにつれて少しずつ買い、それぞれのポジションについて一定の含み益になったら利食いします。これの繰り返しです。

売りの場合も、同様の取引ができます。

連続予約注文を使って、これを自動で取引します。米ドル/メキシコペソが年単位でレンジ相場になる場面で、効果を発揮しやすいと期待できます。

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この記事を書いた人

イーストのアバター イースト Webディレクター兼トレーダー

・慶應義塾大学経済学部
・1級ファイナンシャルプランニング技能士
・証券アナリスト(CMA)
・証券外務員一種
・TOEIC895点

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