アメリカは、自他共に認める『世界の中心国』です。
国際的なビジネス、文化やファッション、スポーツ、エンターテイメントなど、様々な分野で世界に影響を与えています。
外国為替の世界でも米ドル中心に取引されているため、アメリカについて知っておくことは必要不可欠です。
この記事では、アメリカの歴史からGDP・貿易などの観点から解説していきます。
FXを始める前に、基本的な知識・教養として身につけていきましょう。
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アメリカ合衆国という国
最初に、アメリカ合衆国の地図を確認しましょう。
北アメリカ大陸の主要部分を国土としています。アラスカだけ飛び地で「なぜ?」と感じますが、これはロシアから買った土地です。
現代社会から考えると、国家間で領土を売買するというのは、違和感でいっぱいです。そこで、この経緯を簡潔に確認しましょう。
18世紀~19世紀の北米
現代では、南極などを除いて、地球上のほとんどの地域はどこかの国に属しています。しかし、18世紀の北米は、まだその状態ではありませんでした。
イギリスやフランスは、いち早く北米を領土にしていましたが、それは大西洋に面した地域が中心であり、アラスカには到達していませんでした。
その間に、ロシアが、シベリアからアラスカに到達しました。イギリスもフランスも来ていなかったので、難なくロシア領に。
米国の独立とロシアの財政難
一方、米国が独立したのは、1776年のことです。北部十三州(大西洋に面した地域のみ)の独立ですので、現在と違って領土は小さいです。
米国は、西方面にどんどん領土を増やし、太平洋岸に到達しました。
この状況で、ロシアはクリミア戦争(1853年~1856年)に敗れたり、近代化コストが高くついたりして、財政難に陥っていました。
…さあ、どうしましょう。
当時、単なる極寒の地に過ぎなかったアラスカですので、この土地を米国に売却して、資金を得たという経緯です。
(ロシアにとって、クリミア戦争の相手方だったイギリスやフランスに売るという選択肢は、採用できなかったでしょう。)
アラスカは巨大な冷蔵庫?
購入した米国内では、批判が巻き起こりました。「政府は巨大な冷蔵庫を買ったぞ!」という具合です。
ところが、その後、地下資源に恵まれていることが分かり、さらに米ソ冷戦の時代になると、アラスカの重要度は飛躍的に高まりました。
下は、北極を中心とした地図です(ウィキペディアから引用)。茶色が米国、緑がロシアです。
アラスカ部分が当時のソ連領だったとしたら、どうでしょう?地理的に見て、ソ連が有利になっていたかもしれません。
結果として、米国がアラスカを買ったのは大正解だった、ということになります。
米国の予算
日本にとって最も重要な国の一つである、米国。その国の通貨である米ドルは、FXでも最重要な通貨です。
しかし、米国ってどんな国だろう?と考えると、たくさんあり過ぎて、意外に回答が出てこないものです。スポーツ大国、軍事大国、映画やインターネットでも巨大有名企業があります。
トピックがあまりにたくさんありますから、米国の予算状況を見てみましょう。
予算を見れば、米国が何を重視しているか、どこにどんな問題を抱えているかが、何となく見えるかもしれません。
そこで、2021会計年度(2020年10月~2021年9月)の予算教書を確認しましょう(外務省ホームページから引用)。予算教書とは、大統領が議会に提出する予算案のことです。
- 収入見込:3兆8,600億ドル
- 支出見込:4兆8,740億ドル
- 財政収支:およそ1兆ドルの赤字
米国も、財政赤字に悩まされている国の一つです。予算教書を見ますと、2020年度も1兆ドル前後の赤字。
赤字を永遠に増やし続けると、どこかで大きな問題が起こるのでは?と感じるかもしれません。しかし、赤字の伸び率がGDP伸び率よりも小さければ、問題になりません。
GDPと借金
例えば、資産100万円で借金が100万円だとしましょう。借金を返済すると手許残高がゼロ円になってしまいますから、もうアップアップです。借金の額は資産の100%の水準です。
しかしその後、資産が1,000万円に増えました。借金を返済すれば良いのですが、なぜか借金を200万円に増やしてしまったとしましょう。
100万円の借金でも大変だったのに、200万円に借金が増えてもうダメだ!ということはありません。資産が大幅に増えたためです。
資産100万円で借金100万円は大変ですが、資産1,000万円で借金200万円は大きな問題ではないでしょう。資産に対する借金の割合は20%しかありません。
上の例は、極端に書きました。資産をGDPに置き換えてみると、GDPの伸び率が借金の伸び率よりも大きければ、借金の額そのものは大きくなっても構わないということになります。
そこで、今後も米国が財政危機を迎えることなく推移できるかどうかは、借金の増加をいかに抑えるかという方策に加えて、いかにGDPを大きくするか、ということも重要になってきます。
巨大な軍事予算
次に、米国の予算の内訳を確認しましょう。
義務的経費が圧倒的ですが、これは主に社会保障費です(メディケア・メディケイドを含む)。
減らそうと思っても、なかなか減らせるものではありません。日本も社会保障費の割合がとても高いですが、この伸びを抑えることが重要です。
その他、注目されるのは国防予算の大きさでしょう。予算の15.4%を占めており、7,530億ドルという巨大さです。非国防予算の総額よりも大きいです。
ということは、教育、文化、研究開発、インフラ整備等、現在の米国民及び将来の米国民の生活を豊かにするための予算全額よりも、軍事予算のほうが大きいということです。とても興味深い状況です。
米国はどこに向かおうとしているのでしょうか。今後も推移を見守りましょう。
なお、この数字を見れば、米国が日本に国防負担の増額を求めているのは、自然だと分かります。素人目に見ても、米国の国防予算は巨大すぎます。
これを減らそうと思えば、海外でのコストについては外国(日本など)に負担してもらおう!という発想になります。
米国の貿易相手
次に、米国の貿易相手を確認しましょう。どの国と、最も貿易が盛んでしょうか。
日本にとって最重要な国は、経済面でも政治面でも、米国でしょう。では、米国にとってはどうでしょうか。貿易状況を概観することで、予想できます。
日本貿易会の公開データを基に、グラフを制作しました。
輸出
2017年の輸出を見ますと、カナダ、メキシコが圧倒的に大きいと分かります。同じ大陸に属していて陸続きですから、納得の結果です。
そして、中国、日本、イギリスと続きます。
輸入
次に、輸入の状況を見てみましょう。こちらも、2017年のデータです。
カナダとメキシコで1位、2位を占めているかと思いきや、中国が圧倒的な1位です。4位以下に日本、ドイツと続きます。
こうして見ると、米国から見て、日本は圧倒的に重要な国というわけではなさそうだと分かります。
ヨーロッパ、北米、南米、アジアなど、広い地域に大きな影響力を持っていますから、日本は、数多くある重要地域のうちの一つという認識で良いのでは?と言えそうです。
なお、米中の貿易状況を、数字で見てみましょう。米国から見て…
- 輸出:2,822億ドル
- 輸入:5,054億ドル
- 赤字:2,232億ドル
米国は、中国に対して圧倒的に赤字です。その分、中国が儲かっています。これだけ差が大きいと、米国としては何とかしたいと思うでしょう。これが、米中摩擦の原因の一つです。
円グラフで分かります通り、対日赤字は、対中赤字と比べるとわずかな数字になります。
1980年代と違って、米国が対日赤字で強烈な姿勢を取っていないのは、このあたりに原因がありそうです。
世界のGDPに占める米国の割合
最後に、各国のGDPの大きさを比較してみましょう。内閣府の公開データを基に作成しました。
米国が圧倒的に大きいことが分かります。よって、FXも、米ドルを中心として活発に取引されています。
日本は、米中に次いで第3位です。世界全体から見れば、日本の国力は他国に比べて格段に大きい、ということになります。
まとめ
以上をまとめますと、「米国は、何を見ても桁違いに大きい」と言えそうです。FXでも、世界の中心であり続けています。