新聞などで『急激な円高!一時××円台に』などと見出しが大きく出る場合があります。
FX取引をしたことがない方でも、一度は新聞やテレビのニュースなどで「円高」「円安」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。
FXの第一歩は、この「円高」「円安」という言葉に慣れ、馴染むことから始まります。
ニュースになったり、人々の話題に上ったりするのは、これらが日本経済はもちろん、私たちの生活の至る所に関わっているためです。
では、そもそも円高・円安ってどんなことをいうのでしょう?図を使ってわかりやすく解説していきます!
【FXの基本】円高・円安とは
円高:円の価値が高い
円高とは、為替相場が<1ドル=200円>から<1ドル=100円>になるような状態です。
この例では、1ドルを購入するのに必要な円が200円でした。それが、今では100円で買えます。少ない金額の円で、1ドルを買えるようになりました。
すなわち、円の価値が高くなったということになります。
円の価値が高くなるから、円高です。
円安:円の価値が安い
円安はこの逆です。為替相場が<1ドル=100円>から、<1ドル=200円>になるような状態です。
1ドルを購入するのに必要な円が多くなったわけですから、円の価値が低く(安く)なったことになります。
円の価値が低く(安く)なるから、円安です。
1ドル=200円から1ドル=100円というように、数字が減っているのに円高、その逆に1ドル=100円から1ドル=200円というように、数字が増えているのに円安というのは、何か妙な感じがします。
これを理解することが、為替取引をする上で大切です。
今日のハンバーガーはお幾ら?
通貨の価値が変わるということは、次の例で見るとわかりやすいかも知れません。
たとえば、1つ1ドルのハンバーガーを買いに行くとします。1ドル=100円の昨日なら、ハンバーガーを一つ買うのに100円支払わなくてはなりません。
でも、1ドル=80円なら、80円支払えばいいのです。昨日は80円で買えなかったハンバーガーが、今日は買えます。すなわち、円の価値が上がっているということになります。
これが円高ということです。
円安はこの逆で、昨日100円で買えたハンバーガーが、今日は120円出さなければ買えなくなってしまいます。
円の価値が下がったということです。
実際の相場は、1ドル=100円が翌日には1ドル=80円というような、大幅な変化はありません。しかし、為替レート(円の価値)は常に変わり続けています。
いたって簡単ですから、しっかりと円高、円安の意味を理解しておきましょう。
円相場の変動と企業の売上
新聞やニュースの話題に上がる「為替相場の変動」は、企業や投資家にとって、とても気になることで、かつ重要な情報です。
円高がどのように経済に影響を与えるか、海外に輸出している自動車メーカーを一例に取って考えてみましょう。
T社は1台1万ドルの車をアメリカに輸出しているとします。円相場が1ドル=200円の場合は、売り上げとして200万円がT社に入ります。
しかし、1ドル=100円になった場合(円高)には、T社の売り上げは100万円となってしまいます。
1台当たりの生産コストが150万円だとした場合、1ドル=200円なら50万円の利益、1ドル=100円なら50万円の損失が発生します。
輸出産業にとって、「円高」は大ダメージを受けることになります。
円高は日本にとって良いの?悪いの?4つの視点から解説
簡単に言えば円高の状況では、日本に輸入されるモノの値段が安くなります。
海外のものが安く手に入る状態の円高は、誰にとって都合が良くて、誰にとっては都合が悪いのか以下の4つの視点から解説します。
- 一般消費者にとっての円高
- 国内企業にとっての円高
- 輸入業者にとっての円高
- 海外旅行に行く予定のある人にとっての円高
一般消費者にとって
たとえば、1,000ドルの外国産ブランド品を購入する場合、1ドル=200円のときの商品価格は20万円です。為替相場の影響によって、1ドル=100円に円高が進んだ場合の価格は10万円になります。
消費者にとって、円高は歓迎すべきことです。しかし、企業の台所事情は一変します。
国内企業にとって
国内で生産して国内で販売する企業の場合、生産コストの削減などによって、安い輸入品との価格競争をしなければなりません。
それでも業績が落ち込むと、社員の給料やボーナスが減り、場合によってはリストラなどで従業員の削減に走ります。最悪の場合、倒産もありうるでしょう。
輸入業者にとって
円高になると、円安時に比べて、材料や原料の仕入れ単価が小さくなります。このため、仕入れ値によらず同じ価格で売るのであれば、円高は歓迎です。
その逆に、円安によって仕入れ値が高くなると収益が悪化します
海外旅行に行く予定のある人はどうでしょう?
1ドル=200円のときに10万円をドルに換えたら500ドルですが、1ドル=100円の時に換金すると1,000ドルが手に入ります。
円高のほうが、海外旅行者にとって好都合ということになります。
円高・円安どっちがいい?
このように、その企業、その人の立場によって円高が良いのか、円安が良いのかは変わってきます。しかし、日本は輸出大国ですから、円高よりも円安のほうが好ムードでしょう。
為替相場(円相場)が変化することによって、企業の売り上げや損益に直接影響を与えることになります。為替相場と経済は密接に関係していることがわかります。
このため、ニュースで、円相場情報が毎日のように出てきます。
図で解説!円高と円高は相対的
ちなみに、「○○円よりも数字が小さくなったら円高」「××円よりも数字が大きくなったら円安」という絶対的な水準は存在しません。
どこかの時点を基準にして判断します。トレードの場合、「トレードを始める時点よりも円高・円安になるか?」を考える例が多いかもしれません。
下図は、米ドル円の日足チャートの例です。3色で描いています。〇がトレード開始時点だとします。
そこから為替レートはどう動くだろう?と考えるわけですが…青丸より上の部分は円安と書いていますが、そこは、紫を基準にすれば円高になっています。
円高・円安は相対的なものだと分かります。
また、相対的と言っても、超長期で考える場合は雰囲気が少々変わってきます。
下図は、米ドル/円の長期チャートです。1990年代初めからの表示で、大変な長さです。
(FXプライムbyGMOから引用)
この場合、赤枠部分は円高だと言えるでしょう。概ね、100円よりも円高の水準です。
逆に、青部分は円安だと言えるでしょう。四角は適当に描いているのですが、ここでは110円台後半よりも上の水準にしてみました。
このように、長期間の推移で考えて、「過去数十年の中で円高水準(円安水準)」という考え方をする場合もあります。